米国雇用統計で米株が上昇。23年の見通しは?

資産運用

米国の雇用統計が発表となり、インフレ減速の兆しや軟着陸への期待感から金曜日の米国株式市場は大きく相場をあげて終わっています。まずは年初の一つの大きなヤマを越えた感じでしょうか。

私がインフレの先行指数として注目しているCRB指数は、昨年6月をピークとして右肩下がりの傾向が続いています。現在の水準はロシアのウクライナ侵攻前とほぼ同じです。ただし、この水準はコロナ前の水準から比べると5割前後高く、コロナ対応のために市場に供給された資金のために起こったインフレ部分はまるごと残っています。この部分を含めてインフレを抑え込むのか、それともこの部分はもうよしとするのか、グローバルな中央銀行の判断にかかるところかなとみています。私は、株価や地価が低迷して助かる人がほとんどいないことを思えば、この部分の値上がりは固定化されるとみています。CRB指数は商品指数であり、実際の物価はそれが加工されたりする部分やサービスの部分もあるため、5割という数字が一般的なインフレとして残るものではありません。一般的な物価上昇として固定化される部分が1割なのか2割なのか、それは私にはわかりかねますが、全体的な株価水準や不動産、貴金属などは全体的な底上げを享受できるであろうと見ます。
今後のインフレに関しては、すでに個別の商品価格でちらほらニュースを目にするように、今後は沈静化に向かうと思います。それがもともとのトレンドだったところがポイントと思っています。
金価格はここの所あらあめて上げ基調となっていますが、私は今年は横ばいかなと思います。かなり上がりましたが、固定化された部分ははげ落ちないとすると、今の水準は高すぎることはないと考えています。


これを受けてアメリカの10年債利回りは、基本的には天井を形成中とみられます。
米国の短期金利は直近は更にFRBの利上げもあるだろうと思いますが、いずれ利上げは中止となり、短期金利は低下傾向となると見ます。長期金利は、この水準で上がらなければ、景気にとって大きな障害とはならないのではないかと思います。株式投資にとってより低リスクな投資である預金や国債の利回りが高いことは環境としてはよくないですが、二次微分となる悪化の程度は改善を続けていくだろうと見ます。

以上のことから、私は米国経済の先行きに関してはインフレの減速と景気の減速が続くと思っています。また、米国の金利が暴騰したわけでもないことを思うと景気もハードランディングとはならないだろうと思います。結論として、株式市場にとって環境はポジティブで、今年は念を通じた米国株価の上昇を予想したいと思います。Wishful thinkingではありますが、年内にダウが4万ともなればそれは今年としてはやりすぎなのかもしれませんが、そんなところをボヤっとターゲットに思っています。

ドル円相場に関しては、150円を付けたあと基本的に円高傾向が続いています。
購買力平価的には今の為替水準は大幅な円安、というのが私の意見です。ただし、内外の金利差などを着目点に相場がそれと違うところで推移しているのも事実です。
日本の経済の足腰は強く、海外と比して、これだけの円安が続いても、全体的なインフレはなお他国よりも低いままです。これが何を意味しているかはまた専門家に考えてもらうことかと思いますが、私はコロナ前後の購買力平価はむしろ円高にさらに傾いたのではないかと思います。日銀の利上げはもし実行すれば、流れに乗る判断となりかねず、そうなった場合は一気に円高が進んでしまうのではないかと懸念します。イールドカーブはコントロールできないかもしれませんが、政策金利そのものの利上げはないだろうと思います。せいぜい緩やかに円高が進んでいく状況を予想します。
そうなった場合、海外から見た日本資産は非常に安い状態が継続するものと思います。このことはいずれ海外勢の日本の株式(M&Aなどを含む)や不動産の買いにつながることとなります。日本でも株価や不動産の値段が上がって困る人はまずいません。株価や土地の値段の上昇がかえって問題視される(ないと思いますが、トヨタ自動車の株が海外ファンドに3割くらい買われてしまうような事態)ところまでそれぞれの価格が上昇していくことをわたしは予想しています。
相対的に日本株が安い、今が日本株を買い増すタイミングと私が信じているのはこういった背景です。

リスクは政治かと思います。
米国議会の下院議長の指名が混乱したことで、従来の政治的な枠組みではアメリカの行方が単純にはとらえられないことを思い知らされました。今の共和党は私が知っている共和党とは違うとはっきり思いました。それがとくにウクライナとロシアの戦争に思わぬ波乱要因を与えるのなら、思わぬ展開はあるかもしれません。
新聞に今年のびっくり予想として、24年のアメリカ大統領選挙に向けて、今は見えない新人が台頭する、というのがありました。そうであったほうが少なくともわかりやすいのかもしれません。
信じる民主主義がぶれずに24年の米国の大統領選挙に向かって前進するのを固く信じているところです。

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