分散投資の第三の柱は米ドル

資産運用

分散投資の第一の柱は株式、第二の柱は実物資産(具体的には金)です。
そして忘れてはならないのは第三の柱としての外貨です。
私の場合、外貨とは具体的には米ドルのことを指しています。

日本に住んでいる多くの人は、低いインフレ状態が続く中、購買力平価の下で基本的には強くなり続けてきた日本円について、あまり通貨の価値を気にしたことはないと思います。
ところが2022年は急激な円安で、自国通貨が弱くなるということの意味(特にマイナスの意味)に多くの方が気付かれたと思います。
通貨は強くなることもありますし、弱くなることもあります。通貨に互換性が完全に備わっているのなら、その価値は基本的には購買力平価で決まると私は信じています。OECDが算出している2021年の購買力平価は一ドル102円台です。その意味で私は今のドル円相場は極めて円安・ドル高でありいずれ大きな修正が入るとみています

一方で、この急速な円安ドル高は、外貨で見た場合の円資産の大きな目減りを意味し、現に打撃をこうむった投資家も多かろうと思います。そして、一定の資産をドルで保有していた日本人にとっては、相場が低迷する中で、今年は大きな利益が実現したことになります。私もその恩恵を受けた一人です。

外貨を保有する目的は、あくまでもポートフォリオの分散による全体としてのパフォーマンスの安定です。為替の売買で利益を得ようとする考えは、為替市場が非常に競争的であることから、はっきり成立しないと私は考えます。単発の資産でポートフォリオを構成すると、そのセクターが崩れてしまうと痛手が大きく、結果的には底値で投げざるを得ないことすら考えられます。それゆえ、株こそが長期的な利益の源泉ではありますが、それを補完する実物資産としての金、そして通貨価値そのもののヘッジとしての米ドルを好ましい割合で組み合わせることは絶対必要なことです。

外貨を選ぶ際にどの通貨を選ぶのかといえば、現状、私は米ドルの一択だと考えます。
軍事力、経済力、あるいは人口増加、またはその自由な発想を可能とし、人間の潜在性を際立たせる社会の在り方。おそらく私が生きている間にアメリカがその輝きを失うことはないと思います。
もちろん、複数の通貨を選択することも可能と思います。例えばユーロですね。ただ、私は、一般個人が複数の通貨をフォローするのは無理だと思います。米ドルをもつことで外貨の分散は十分にカバーされていると考えます。

外貨を持つ際に一つ重要なポイントとなるのは、外貨をどんな形で持つか、ということにあります。
単純な持ち方はドルの現金や外貨預金で持つことになります。もちろんわかりやすい形態ですから、それも良いだろうと思います。
私は、米ドルは米ドル建ての株式投信で保有することを勧めます。ダウでもSP500でもそれにインデックスされた投信を米ドル建てのまま持つことが大切です。外貨リスクをヘッジしてしまうと意味がなくなってしまいます。その意味で外貨リスクは株式とは別の次元の投資であることがわかります。また、米ドルと金の関係は互いに素です。もちろん超短期的には急激な円高が進むと円建ての金価格が下落することはありますが、長期的に見れば金価格はグローバルな実物資産の金融資産に対する相対的な価値を表すもので、為替とは関係がないもの、と割り切っておくのがわかりやすいです。

ドルの価値は決して暴落したりしません。
FRBは慎重に金融政策を運営していますし、FRBの施策には健全な批判や分析が常時加えられていて、例えば一個人の信念や政治的な思惑でゆがむことは起こりません。ドルが継続的に弱い状態が発生した時はその背後にある政治的な意味合いを考えるべきです。

私のお勧めするポートフォリオは、日本株を全体の三分の一、米株を全体の三分の一、そしてさらに全体の三分の一を金で持つことです。
この基本の中で、極端な相場のブレが生じた時に必要な修正や、思い切った投資を行うことがフルリタイア実現へのポイントです。

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