インフレヘッジ:リタイア計画のかなめのリスク

リタイアメント

バブル以来の日本はデフレからいかに脱出するかを問い続けてきました。
黒田日銀総裁のもと、異次元緩和が行われ資金は潤沢に供給されましたが、実際にインフレが起こったかと言われればそんなことはありませんでした。日本に住んでいるとモノの値段は下がるものであって決して上がるものではない、という感覚がコロナ前に関していえばごく普通でした。

そんな日本についにインフレがやってきました
モノの値段が急速に上がり、それに賃金の上昇が付いていかず生活が苦しくなる。このことへの対応に政府は大わらわです。

リタイアメントプラニングを考える場合もインフレに対するリスクは十分に考えておく必要があります。インフレリスクは将来の資産全般に根こそぎ影響を与える意味で、リタイア計画のかなめのリスクとなります。
グローバルに金融引き締めが行われる中、日本はゼロ金利が維持されています。一方で身の回りを見ると、ガソリン価格などは天井知らずの上昇になり、何もかもが高くなって手に入りにくい状態です。お金の価値は明らかに下がっています。このことは、現金をベースにプラニングをしていった場合、将来生活水準を下げざるを得ないことを意味します。
これに対応できるよう、インフレが起きた時に将来の資金繰りにマイナスの影響が出にくい資産のポートフォリオを組むところがリタイアメントプラニングの一つのポイントです。

インフレが起こったときに、最も脆弱なのは現金です。
デフレの世の中では、現金が最大の勝ち組でした。何せインフレがマイナスだとノーリスクで実質的にプラスのリターンが見込めるからです。
ところが実際にインフレが起こってしまうと、現金の実質的な価値は下がります。
この先の数十年、世の中がインフレなのかデフレなのか。私はあえてデフレが続くと考えています。ただ、だからと言ってインフレに備えないということではありません。そのことのいい証明が今回のコロナでした。
何が起こったのか、私なりにまとめると次の通りです。底流でのデフレ環境が続く中で発生したコロナに対する政策対応として、グローバルに大規模な金融緩和が実行されました。コロナの収束に伴い経済環境が復帰する中、過剰な緩和は教科書通りの物価上昇をもたらしました。そこで教科書通りに日本を除く各国では金融は引き締めに舵を切りましたが、その間、ある程度の物価上昇が定着しました。まさか物価が元の絶対水準に戻るまで引き締めを続けることはないでしょうから、この間の物価上昇は底流のデフレ環境と関係なく固定化されたと考えます。
はっと気が付けば現金の価値はいつの間にか下がりました。その結果値段が上がったものがあります。極端に上がったものといえば金かと思います。実際に金を持っていた人にとってはこの間のインフレで目減りした現金の価値はある程度は回収できるものになりました。儲けたのではなくて、堅実な投資行動で見えにくいリスクを回避し得た、と考えるのが正しいところです。
まだ今の日本ではわかりにくいとは思いますが、資産の多くを現金の形で保有することは、正直、リスクがあると考えます。

インフレに対抗するための手段をご紹介します。

私は、まず株だと思います
企業社会ではインフレが起きれば当然に売り上げが増えます。保有資産も大きくなります。現金の価値は下がるかもしれませんが、その分、株式の平均的な価値が増加してインフレに対抗してくれます。まずは株の購入を私としてはお勧めします。
次に私は金だと思います
金に対する信頼感は、不安な世の中であればあるほど揺るぎません。中央銀行もどんどん買っていきます。ただし金価格は上昇しました。今の水準は歴史的に見て非常に高い水準です。すでにお持ちの方についていえば、リスクを減らす局面だろうとも思います。一方でこれから金を買うというのであれば、ドルコスト平均法で長い期間かけて積み上げるのが賢明です。
金だけが実物への投資手段ではないと思います。プラチナなども有力ではないかと思いますが、流動性や参加者の多寡を思うと金以外は一部分程度がせいぜいだろうと思います。
三つめは私は外貨だと思います
日本に住む我々が、円高が進もうが、円安が進もうが、一見関係ないように見えますが、実際今回大幅な円安になるとそれがインフレにつながることを経験しました。外国から見れば日本円は急速に大幅に安くなりました。例えば不動産、国内で値段が多少上がったくらいでは外国から見れば値下がりです。つまり、外貨で見れば資産価値は減っています。円高が長く続いたため、日本には自国通貨をリスクとみる習慣が定着していないと感じます。あるべき姿として資産の一部を外貨で持つのは健全な考えです。
外貨に関していえば、私はドルだけでよいと思います。二つも三つも通貨を持ってみてもフォローもしにくいですし、組み合わせが増えてわかりにくくなります。わかりにくい投資は失敗につながります。
ドルは現在150円近くになっています。如何にもドルが高いように思います。これから外貨投資を始めようということであれば、ドルコスト平均法で少しずつ購入していくのが良いと思います。
購入したドルは米国株(インデックスを勧めます)や今のように金利が高ければMRFなどで運用されることを勧めます。利息が付かない状態で放っておくのは改めてそこにリスクが発生します。

以上三つのポートフォリオにリスクを分散させておけば、私はインフレリスクを回避できると思います。

ポートフォリオのインフレに対する耐性や運用資産を働かせるためには、現金はあまり持たないのが賢明です。半年分くらいの生活費は常時現金で準備すべきとは思いますが、それ以上のお金を遊ばせておくのは、インフレ対策上むしろリスクと考えます。



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