家族としてのフルリタイアは60歳で初めて可能

リタイアメント

フルリタイアすると言って見ても、どのような家族構成になっているかでプラニングは大きく異なってきます。
単身で自分の事だけを考えればよい場合は変数は少ないでしょうが、プラニングに配偶者や子供を含めるとなると、明確な将来像をあらかじめ見通すことはむつかしくなります

以下では夫婦に子供がいる世帯を前提にお話ししていきます。

夫婦が子供を扶養しなければならない間は、子育てにどれくらいお金がかかるかは予想がつきにくいものです。子供が選んでいくパスによっては、かかるお金は中途半端でなくなります。子供にかけるお金は節約が一番むつかしい出費です。親の弱点を見透かすように世の中には子供のためにお金を使いたくなる場所がたくさんあります。あれもこれもと言われるがままに使ってしまっては、少し極端かもしれませんが、子供がかわいければ家計は赤字になると言ってよいのかとさえ思います。
東京の合計特殊出生率は1近辺。あくまでも一般論ですが、二人の子供を東京で育てることはできないことの明確な表れだと思います。どれだけ高収入の家庭であっても、二人は育てられないのが現実だというべきでしょう。

若い間にリタイアメントのプラニングをされる方は、このことをどう仮定するかで結論が相当に変わってくるでしょう。フルリタイアの実現のためには蓄財が必要です。一方でかわいい子供のための出費は削りにくく、果たして必要な貯蓄が予定どおりにできるかはむつかしい問題です。
また、夫婦の間で子育てに関する意見が一致することはどちらかと言えば珍しいことと思います。つまり、リタイアメントのプラニングを一人では決められず、計画がたてにくくなります。
また、実際に子育てに当たってみると、いじめや不登校、あるいは病気やケガといった思わぬ出来事が実際は起こります。お金では解決しにくい問題が起こってきます。
こういった大きな不確実性を乗り越えてまだ若い年齢でのフルリタイアを目指すのは、実際はむつかしいかなと感じます。

子供が順調に育ち就職し、親から独立してくれれば、この大きな不確定要素はなくなります。
その方向性が見えて来て、初めて本格的なリタイアメントのプラニングができるようになると考えます。その時期はまさに60歳。この年齢です


子育ては、会社で働くアウトプットに並ぶ、私の言うところの人生第二期(20歳から60歳まで)の大事な責務です。責務、というと今の時代大げさなのかもしれませんが、子供を持つという選択をした以上、必ずついて回るものです。
この責務は子供が独立してくれることで解放されることになりますが、解放されて初めて、自分自身の人生の充実に時間をかけて焦点を当てることができることになります。

若くしてフルリタイアしてみたが、フルリタイアした後に子育てに時間とお金が予想を超えてかかってしまうと、達成できたはずのプランは実現しません。一度フルリタイアしてしまっては、築いてきたキャリアパスも元のところへ戻るのはむつかしいと思います。つまり、いわゆるアーリーリタイアは私は難しいと感じます。
リタイアメントプラニングは、子育てが終わる60歳という年齢に向かって企画していくのが妥当だと私は思います。

子供が独立すると、夫婦が残ります(以下、話を分かりやすくするため、夫が働き、妻が専業主婦の家庭を前提とします)。
これまで、子供にかかりきりであった専業主婦の妻はある日から話し相手が夫に切り替わります。
その時に妻と夫がともに共有しあえるものがあってほしいと思います。
そうでなければ、リタイアして過ごす時間は夫婦にとって充実したものにはなりにくいからです。
働き手の夫がリタイアすることは、妻にとっても大きなインパクトを持ちます。
夫婦は、リタイアよりずっと前から、リタイアのプランを話し合う必要があると思います。いままで「稼いでいるんだから」と許してもらえていた夫の地位は大きく下がります。多少でも奥様がパートで働いておられればその瞬間から立場が入れ替わることすらあり得ます。自らの「フルリタイアメント」の選択を支えてくれるのは、他ならないパートナーの理解です。数字でフルリタイアメントが成り立ったとしても、そのことにパートナーの理解がなければ、真のフルリタイアは家族としては成り立ちにくいと感じます。
人生の充実とは、夫婦であるのならば、二人がともに充実している必要があります。
夫婦の人生の充実が実現したリタイアメントプラニング作成が大切だと思います。

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